菜々宮ソロル

Chapter1


(無い、無い、まるで無い。
現実味なんてこれっぽっちもない、本気で夢だと錯覚したんだ。
そこで思いつきで頬を引っ張って、その痛みに涙が滲んで、漸く
……──救いのない世界に迷い込んで仕舞ったことに気付いた。

絳色に染まった、『そのこ』だらけの床。
私には、頭の中でもそれが××だなんて言えなかった。
だってこの子は人間だもの。
それが分かっている内は、私は〝正気〟なんだと思えた。

周りの阿鼻叫喚、『みんな』の声が飛び交う此の空間。
私はそれが可笑しいとも、煩いとも思わなかった。
だって私も怖かったもの!
でも、だからこそきっと………静穏で居られた。)

「………私が、しっかりしなきゃ…。だめだよね。」

(誰がそんなことを望んでいるのだろうか。
…誰でも良い。私は誰かを救いたい。その気持ち以外になんの取り柄もない私だから、余計に塞ぎ込んでしまってはどうにもならない。
───小さく目を閉じた
──両手を組んで祈った
─その黙祷は全て彼女に捧げられていた。)

「私には、何が出来るだろう。」

(腕を下ろした頃、ふとぽつりそんな事を呟く。
無機質な声は告げた、謎を解け。
そしてこうとも嗤った、誰かを殺せ。
どちらかしないと死ぬ。無惨に殺される。)

「うん、じゃあ頑張って謎を解こうかな。」

(少年を迷わせる物は無く、元より一方通行だったかのようにアナウンスの中の『〝私〟』を探すと決意した。
では先ずこの船を知る事から始めよう。考えるのは、その後でもきっと遅くないさ……。)

  • 最終更新:2018-02-17 23:34:25

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