碧x早永

prolog ― 碧 麟(青龍 結麒) → 早永 めい 以下交互


んー………
(歌劇団は一般にはあまりポピュラーではないから、油断した。近くのカフェでファンクラブの集まりがあるなんて思わないだろう。個人ではなく、組のファンクラブだからまだセーフ、と思いたかったが……まあ当然囲まれる)
俺今日オフできてるんだけどなー……

長い白髪を括ってハットに入れ、伊達眼鏡とコンタクトと特殊メークをしたガチガチの変装スタイルで街中にでていた。本人はそのままで街中に出ようとしたけれど、過保護な事務所社長に止められたのだ。
喋ったら声で分かってしまうだろうが。
暇だったから人ごみを求めて散策していたら、とある騒ぎ立てている集団が居た。
ハッケーンとでも楽しげに口許をあげ知らない知らないていを装って、突撃していく。

「お兄さんお姉さん達賑やかだねー??めいもサインくーださい!」

と、可愛らしい付箋とカラーペンを持って。

サインはねー考えてないんだよねー俺ねー
(これなに、どう切り抜ければいいの。そもそも子供でヅカ見てる人少ない=年下の扱いになれていない。というかヅカを見ているのは既に生活にいろんな意味で余裕のあるマダムばかりなんだから若いこのノリはわからん。人混みにこうやって何も知らないのに突っ込めるのすげえと思う)

とりあえずテレビに出た人は覚える!スタッフさんも!と案外努力家なアイドルは何となく覚えていた。
突っ込んでみてサインが無いことが分かると(´・ω・`)という顔になり。とりあえず顔をまじまじ凝視。して、誰か探り。思い出した瞬間パァと明るくなる。

「残念、貰いたかったよ~。碧 麟さんのサイン。」

よく知ってるね、若いのに
(宝塚は基本マダムの享楽だ。ジェンヌ達は、小道具もメイクも服も、自前で用意しなければならないことが多い。すると、マダムたちは[私が買ってあげる]と名乗り出たりも。前はトップの誰だったかがマンションの最上階ワンフロア丸々貰ってなかったっけか(実話)。と、まあ。そんな世界であるから若いこのファンは少ない)
ばあちゃんかお母さんあたりが宝塚みてるのかな?
(そう聞けば、周りのマダムから[まだまだばあちゃんなんて呼ばれるほどじゃないわよ]と声が飛び、それに[ええ、みなさん羨ましいほどお若い。私もそんなマダムになりたいものだ]と返す碧)

「そうですぅ?知ってるコは知ってるから♪」

(珍しいと言われコテンと首を傾げつぶらな瞳で見つめる。そして、付箋とかをバッグに仕舞い両手の拳を握り前でグッとして大丈夫!と笑顔でフォローの意味のジェスチャーを送る。

「お母さんとおばあちゃんは居ないよ?勉強したんだ♪」

無邪気にそう言ってのける。

おっと……
俺としたことが軽率な発言をしたね
許してもらえるかい?
(少し屈んでその頭に手を置く。身長差約20センチ)

えヘヘ~優しー♪めいが言ったんだもん。とーぜんっ許すよ♪
(頭に手を置かれ嬉しそうにしながらニコニコと話す。そして、許すと満面の笑みで言った。本人は気にしてないらしい。

それは良かった

ところでめいちゃん
今日は随分風が強いから、帽子、飛ばないよう気をつけておきなね?
(頭から手を離し、帽子を指さす。暗に気づいている、と言っている)

あは☆バレちゃったかぁ~。そーだよ!

(隠す気ゼロのバレちゃった。テヘッ☆という何だかマッチする動作をして後ろ手をクロスしてのぞき見る。普通の人じゃイタイだけの。
自分のことめいって言ってるし、声も隠すつもりなくバレバレだ。止められた理由が察せられるだろう。

うん、気を付けるよー
(と帽子を抑え軽く返し

みなさんも今日は皆さんでお茶をしに来たのでしょう?
俺じゃなくて、先輩たちのファンの人もいるんすから、浮気になっちゃいますよ?
(そういってマダムたちをカフェにもどらせ、めいの手をとる)
俺みたいな、歌劇団員とは違って全国区なんだから、もう少し考えたらどうだ?
(歌劇団も、全国区ではあるがあくまでもそれは[団]。中の個人までは、ファンでもないと見ない。しかしテレビは違う。ファンでなくとも情報が自然と入るものだ)

「えっ?みんな行かせちゃうの?」

おばさん方をカフェに戻させたことに不思議そうににする。何かマズいことを言ったのだろうか。
事務所の社長からも口うるさく言われている。のにこの有様だ。バレたらバレたでファンと遊んでしまうほどである。悪質なファンだったらどうするつもりだったのか。
勉強してる癖にこういうところは世間知らずである。

「ちゃんと考えてるよぉ、わぁい♪人ごみハッケーン!突撃ーって。」

手を取られ、特に警戒もせずさっき考えたことを言う。今頃頭を抱える事務所の社長の図が浮かぶだろう。本来隠れるべきなのに人ごみに突っ込んで。

そりゃあね、行かせるさ
だって俺今日オフできてるから、マダムたちに囲まれる理由がないの
(そりゃあ買い物に来てるんだったらそのままアクセとか買ってもらったりもするけど、今日はそのために来ているのではなく、ただ歩いているだけだったし)

あとね、それを考えているとは言わない
(それを考えているというのなら小学生が興味本位で木に登り落っこちることすら考えてやっていることになってしまう)

ほむぅ。マカフシギなの~。

(独特な相槌で頷く。というか、芸能人がオフの時は誰もが放っといて欲しいと望むだろう。それが普通で、この子はズレているのだ。)

じゃあじゃあ、めいは考えナシってコトー?

(自覚してなかったのか、何処か不満げに言って。めいの考えているは基本的そういったお花畑思考だ。)

不思議っつーか、それが普通だと思うぞ?
(いや、オフの日でもくっそフレンドリーな先輩いたけどさ。俺にはとてもじゃねぇが真似出来ないね。だってほら。1人の時くらい、独りにしといて欲しいだろ?)

そーだな、考えなしだ
仕事してんなら少しは考えたり周りの忠告を耳に入れたほうがいいぜ

わぁっ麟さんストレート!よく言われるんだ!アイドルの自覚持てーって。自覚ってなんだろね?

(さっきまでの不満げなのは何処へやら。開き直ったようだ。よく言われているのに聞く耳持たずはこのこと。見つかっても人気者になれるからいいのにー。らしい。どんだけ人ごみが好きなんだ。)

いやしらんよ
俺アイドルじゃないし、アイドルになりたい訳でもないからな

ただ──清く、正しく、美しく
それが、偶像─アイドル─としてのあり方だ
そうやって、俗世とは離れているはずの偶像が世間を歩き回ってたらファンが残念がるだろう
(清く正しく美しく、そして朗らかであれ。舞台に立ち、観客に夢を見せ、俗世と切り離す。そのためにあるというのは、虚像─舞台─も偶像─アイドル─も同じだろう)

喜んでくれるのにぃ…。んぅーつまりファンの夢を壊さないよーに、現実じゃカメレオンさんになってバレなきゃいーの?

(知らないと言ったのに、ヒントのような考え方を言われた。髪の毛はまとめてあるので、思考するときクルクル触れないし手持ち無沙汰だ。
もうちょっと分かりやすく伝えて欲しいなと思ったが、汲み取ることも大事!と自分なりに解釈して飲み込んで。
カメレオン=透明、紛れ込むという何とも珍しい言葉チョイスだ。

ま、そーいうこったな
あんただって、女神様が人間と同じ生活してたらなんか拍子抜けするだろ
だから、人間をやるなら、バレないように完璧に[人間]を[演じる]ことさ
俺たちは、[偶像]なんだから

穴だらけの芝居なんて、みたくもないだろう

(ひどかった。酷かったのだ。親が、宝塚のファンで、それ故に幼い頃から舞台に馴染んでいた彼女にとって、学芸会の類は苦痛でしかなかった。穴だらけの演技、シナリオ、舞台道具。しかし彼らはそれで満足し、成功だと笑っている。気持ち悪い。だから、穴だらけの芝居など見たくもない。だから、生活ひとつ、仕草ひとつすら、完璧にこなして、普段から、きっちり。そうでなければ)

その程度もこなせなきゃ、舞台には立てないよ

(無意識に演技ができなければ、意識したって、ほんの一瞬の気の緩みが、穴になるんだから)

女神様が人間せいかつ…もっと上の暮らしして貰いたいかもっ!あっ、納得!でも、むむむ…。穴だらけはやだけど…むー。

(想像したらシュールで面白かった。けれど、実際人間の生活してたらイメージが砂のようにサラサラ崩れてコレジャナイ感。言ってみてあ、と気付いたそのとき。
また不思議な言葉が並んでいる。人間を演じる…完璧を求めようとしているのか、その指南がハイレベルに思えた。
精一杯どんな時もアイドルである自分を演じていたけれど…街中をオフで歩くときすら麟さんが言う人間を演じなければかな。人間と言ってもみんなヒトだもん!なんて言おうとしてやめたらしい。)

めいも完璧目指してるもんね!お人形さんになれって言われたらなるし─────ってね♪アイドルにも喜怒哀楽スイッチはあるんだっ!人間を演じるってすっごい難しそーに見えるけど麟さんは"誰"を演じてるの??

その程度と言われたのに対抗したつもりなのかふんす、と自分だってと意気込んで。制止。雰囲気、瞳から全ての感情が抜け落ち僅かな動きすらもピタリと止まり、ぞっとするような無機質な人形に幾秒間なってみせる。まるで作り物のような人形その物に。
その後急にコロッと元に戻ってみせ。演じているだろう麟さんに演じているモデルはいるのか問い掛ける。)

俺?そうだなぁ、
強いていえば、[オレ]が[俺]を演じてる
そう思ってくれればいいよ
俺(碧麟)と、オレ(青龍結麒)はべつものだからね
舞台に立ち続けたいと願う限り、オレは邪魔なんだ
求められているのは、虚像を完璧に演じる碧
人間の青龍は、舞台に立っていてはいけないだろう?
(舞台に立つためには、いらないものを切り捨てて。舞台に上がるための、虚像を演じるマリオネット。それが、一番楽でいい。一番楽ではあるけれど──)

ジブンで自分の仮面を着けてる??ねぇねぇ、それだとジブン見失わないの?

(ストイックが度を越している。自分自身を演じてありのままの自分を邪魔だという。自分を追い払ってまで残そうとするのはナニ?結果?自分の勇姿?
一つまみ分ぐらいの思考は残したって支障はないと思う。めいにも忘れてはいけない文字がたった一つだけあるし、完全に消すのは表面全部と内心大部分まででないとジブンがどっか遠くへ届かない所へ飛んでいってしまいそう。)

何言ってんだよ
見失う方が都合がいいんだ
オレは、俺にいらないんだから
(舞台に上がるのに、[自分]はいらない。自身は人形であり、小池監督を筆頭とした演出家たちのもとめるキャラクターを自身に当てはめ、動き、踊る。それが一番大事なんだから。キャラクターをはめるのに邪魔になる、自分なんて、舞台上に立ち位置はないんだ)

そー?…ジブン捨ててまでちゅーじつに演じたいんだねぇ。

(アイドルは協調の中の個性を求められる。秀でた、何か人を惹きつける魅力がないと個人のファンも付かないし踊るだけの役割もないモブに宛がわれる。
全員が全員同じ動きをしようするのは確かだけど、麟さん達の団と違ってちょっとの1コンマのズレならライブだと許される。その場その場で違っても誤魔化しは利く。間違い過ぎたらもれなくスタメンから外されるけど。)

麟さんと話してたら舞台観に行きたくなっちゃった♪オフが合わなくて生で見てなかったからぁ、今度お忍びで観に行っていーかな?

(精密に演じる舞台を観に行きたくなった。隙間時間に今まで見るだけだったから次かその次をもぎ取って。
こう見えて案外オフは少なめなのだ。麟さんも同様に少ない貴重なオフなのだろう。)

そうそう、忠実にね
(ほんの少しずれたら、自分だけでなく、同じく組、学年の人達までペナルティを受けることになる。ゆえに、個は、邪魔なんだ)

あー、じゃあこれどーぞ
俺の連絡先
もしこれで連絡くれたら関係者枠でいい席用意してやるよ

いーの??やったぁ!ありがとー!

(嬉しそうにキラキラして連絡先を見つめありがたく受け取りスケジュール帳に終う。尻尾が付いているなら嬉しそうに揺れていることだろう。オフの時でも知り合いのライブ応援しに行ったり、悪用はしない。)

あげっぱなしは何だかだし、関係者プレートあげる♪確かこれ出せば関係者席と控え室に通れたハズ。あ、連絡先が良かった?

(連絡先交換はファンがいる手前大変まずいから、首掛け方式にも出来る小さめのプレートを渡そうとして連絡先が良かったかとあらかじめ訊く。連絡先だったら事務所スタッフ、仕事用の携帯になってしまうのだが。)

ん、いや
連絡先は基本渡さないものだろ?
だからそれでいい
(舞台とアイドル。ステージは違えど、似たようなシステムはある。宝塚にもとうぜん、人に連絡先を渡してはいけない、という決まりはある。でもまあ、いいだろう。個人の知り合い、ということにしてしまえば問題は無い。そういうところは割と適当なのだ)

そーだねっ!プレートあげるー、いざとなったら公式○witterフォローしてくれれば反応するよ!

(いいのかというのもあったけど、プレートを手渡す。プレートは言ってしまえば優待だ。限定ライブにも抽選無しでいけるし、割引なども利く。
それと、公式○witterというものもあるから、完全に連絡出来ないわけじゃないという。)

ん、りょーかい
今日はどうも
そろそろ戻らないと、次のレッスンあるから
すまないね
(そう言って、最後に取っておきの、ふわりとした笑顔を浮かべて、手を振る)

…そなの?バイバーイ、今日は話してくれてありがとーレッスン頑張ってねー

(ふわりとした笑顔にニコッと純粋なスマイルを返し小さく両手を振る。
あくまで大声でなく、麟さんに聞こえるほどの声だ。
何だかオフの時間を邪魔してしまったことに罪悪感を感じるが、気にしては負けだ。
数時間後に来る迎えまで人が居なさそうなカフェでくつろごうか。レッスンにこれから向かう麟さんを見送った。



  • 最終更新:2018-02-15 20:37:05

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