深山x若葉
Chapter1
3日目 ― 深山 真白 → 若葉 理科 以下交互
………!?な、なに?
(部屋の中を色々と漁っていたところ、突然すさまじい爆発音がして軽く揺れたような気すらした。
何かが誤って爆発したのか、それともあの時のように腕輪が爆発したのか。誰かが故意に爆発させたのか……。
部屋の外ではバタバタと走り去って行く足音が至る所から聞こえて、皆が慌てて現場に向かっているのだろう事がわかる。
自分もすぐに向かうべきか否か、少し考えてから、結果少し待つ事にして。自室前の廊下がやや静まってからゆっくりとドアを開ければ、音のした方へとそろりそろりと廊下を進んで行く。)
「おや、あなたは……」
廊下から出た先に男性と遭遇する
きっと真下の爆発を聞いて動きに来たのだろう
「聞きましたかあの爆発を。
とりあえず急ぎましょう 場所は12号室だったはずですよ」
ふふっと怪しい笑みを浮かべる
楽しいゲームの始まりだ、退屈なんてしている場合じゃないぞと
駆け足で12号室へと向かう
もう大量の人だかりではないか。 いったい何が起きたのだろう
いや、爆発なんだけれど
その原因だ。
時間帯が時間帯である ゲームオーバーの爆音ではないことは確かだ
……行くけど。
キミなんだか楽しそう、だねェ。そんなに面白い事、この先にはないと思うけど。
(ばったりと会った女性に怪しげに浮かべられた笑みを見て僅かに眉を顰めつつ言葉を返すと。急ぎましょう、の言葉には素直に従い後に続いた。
彼女と共に現場に到着してみれば、既に集まってきていた人もいたので、その人達が密集している廊下は少し狭く感じる。
それよりも。鎮火されているようだが鼻をつく焦げた臭いと、なにかが焼けたような臭いに思わず口と鼻を片手で覆う。それを嗅いだだけで、誰かがここにいて、そして焼けたのだと理解するのには然程時間はかからなかった。)
……たぶん、誰かが死んでるね。
(ぼそりと一緒に来た彼女に向けて言葉をかけると、部屋には入らずに光景をしばし眺める。部屋の中に入っている数名は恐らく辺りを調べているのだろうとぼんやりと思いながらそのまま暫く見つめて。)
「楽しそうだって?
そりゃ、楽しいに決まっているじゃないの!
誰もが夢見た非日常よ?
暴力と空虚が繰り返されるだけの日常なんてもうウンザリだよ」
飄逸した態度で目を輝かせてそう答える。
悪意も邪気もないただ純粋な眼差しで
「あ、私は若葉理科。
誰か死んでる、だろうねぇ……これまた派手にやっちゃって……」
よりにもよって爆死を選んだ犯人の気は確かじゃないだろうけれど
つまらなくはないよね。
「思った通り、ていうか予想通り他殺みたいだねぇ」
星の腕を確認してもすでに誰かがスキャンした後である。
「せっかく死体が出たのに、その報告はされてないんだ。
運営も秘匿するなんて意地が悪いんだ。
彼女が爆殺じゃなかったら、星ちゃんの死を知らないで何人も殺されてただろうね」
だからこそ、爆死なんて派手な殺し方をしたんだと思うけれどね……。
と、付け加える
…どーも、僕は深山真白。
……非日常を愉しむ。
キミみたいな人もいるんだァ……因みに僕は夢見てもいないし、今も全く楽しくないよ。だからと言ってキミに不謹慎な、とかは言うつもりはないけど。
(彼女の態度を見てすぅっと瞳が細められると、特に感情のこもらない口調で淡々と返し。別に彼女を咎めるつもりはないし、軽蔑するつもりもない。自分だって本当は、ただひたすらに面倒くさいです。とか言ってしまいそうな口だから。
若葉が星日菜子の遺体を確認しているのを見ながら話を聞き、少し思案した後。)
……他殺、秘匿。
確かにこのタイミングだし、誰かが殺したって考えるのが自然だよねェ。でもさ。あんなにコロシアイをして欲しがってた奴が、折角、念願の殺しが起きたのにキミが言った通りなんの報告もない。今もこうしてだんまりを決め込んでるのって、ちょっと変だよねェ。
だって、大喜びでアナウンスしてきそうなもんじゃない。
(そうじゃない?と首を傾げながら。あれ程煩いあちら側が黙っているのは不自然だと思ってしまって。然しそう思ってしまえば、今度は何故しないのだろうと頭をひねってしまうのだけれど。)
「むーしーろー、黙ってたら連鎖的に殺人が起こると考えたのかもね。
人の死を知らないからさらに死を求め屍が増えていく
ゆーえーにー! そう! この殺人がきっかけに
殺人が身近なものだと思わせる効果もあるよね
『この中に人殺しがいるってさ』
でも深山ちゃん? アナウンスは日付が変わるときに決まって流れてたでしょ。
ってことは
『アナウンスは日付変更の時のみ』 かもしれないよねー?
もうすぐ4日目が来るからそれだけ確かめてみるのもいいかもね……」
行絶に話すが態度はあくまで飄逸している
まるで自分は無関係であるような言い回しである。
「どちらにせよこの中に人殺しがいることは間違いないよね深山ちゃん!!」
びしぃっと指をさしてドヤ顔で答える
キミ、テンション高いなァ……。
まあ言ってる事は正しいからいいけどさ。
そうなんだよねェ、確かに毎回アナウンスは一定の時間にだけ。キミの言う通りとりあえずはそれを待ってもいいんだけど、もしこれが────、
(言いかけた口を閉じる。
自分が今言おうとした事は、これは悪戯に他人の心を不安にさせる言葉ではないか。これは殺人をした方がいいのでは、と勧めるような言葉ではないか。
“もしこれが、殺人ではなかったら、アナウンスと共に、誰かがまた爆死するんじゃないの”と
。
そう考えてしまうとそれ以上口にする事はできずに暫く押し黙ってから。)
…人殺しがいるなんて。態々そんな風に言って刺激しなくてもいいんじゃないの?こういうのは連鎖するん、でしょ。
……大体随分他人事のように話すけど、キミもランダムに選ばれる対象に入ってるのに、怖くないわけ?
(彼女の言い回しを拾って言葉紡げば、先程からの態度を見て疑問に思った為にそう問えば。)
「うーんとさぁ
『このゲームに勝つのは私だからね!』
私が負けるわけがない。絶対に勝ってみせるよ!
そのためなら私は人を殺すのも平気だからね
嘘だと思うなら今この場で、君を殺してあげよっか?
ま、それくらいの心意気じゃないと負けるよ。
諦めたやつから順番に死んでいくの。
深山ちゃんは生きる気、ない?
折角親からの虐待のない自由を手に入れたのよ。
死ねるわけないじゃない!
……で、深山ちゃん、黙りこくってどうしたの?
ああ、これが殺人じゃ無いのかって?
その心配ないよ。 殺人をした後に腕を翳すとカウントが1になるからね。
それができなかったってところを見ると星ちゃんは誰かに殺されたって事
星ちゃんがお星さまになっちゃったぁああああああ
うわぁあああああん! 可愛そうだよぉおおおおおお!!!
ふぅ、泣いたらすっきりしたー」
かなり感情の起伏が激しい彼女はやかましい女かもしれない
……虐待からの自由、ね。
僕は生きる気がないわけじゃないけど、だれかを殺してまで生き残る気はないかなァ。
別に高尚な理由とかじゃなくて、単にそこまでして生きたいような理由がないってだけ。
あ……だからといって今キミにあっさりと殺される気はないんだけどねェ。なにより痛いのも苦しいのもキライだし。
(数秒の間の後、まず一言返した。
親のいない自分にはその気持ちを計り知る事はできず、前にも思った通り咎めるつもりはないが彼女の言葉に賛同はできそうもない。勝ち負けに拘るような事じゃないだろうに、面倒くさい事を考えるんだなぁなんて思いながら、それでも殺される気はないので確りと拒否はしておき。)
殺すとか軽々しく言うけどさァ。
キミが殺すとしたら、例えばどんな風に……って、ああもう…ウルサイ……、泣いたり笑ったり忙しい人だな…。
わかった、わかったよ。とりあえずは誰かが殺したって思っとけばいいんでしょ。警戒はするに越した事はないし。
(笑っていたかと思えば、大泣きをして、すぐにけろりと泣き止む様子を心底呆れたような表情で見遣るとはぁ、と一つ大きく溜息を吐いた。未だに疑問や漠然とした不安はあったが一先ずは飲み下してしまおう、わかったと二度繰り返してこの状況を他殺と認める意を示す。)
「まぁ、星ちゃんには何の思い入れもないから別にいいんだけどねバイバイ」
泣いたと思えばケロッとしてひどいことをさらっという
「まぁ、私も あ、じゃあ殺すね ってもんじゃないと思うからいいよ
殺さないでおいてあげるー
でーもーさー、なんていうか最近みんな問題の事すっぽ抜けてるよね
てことはみんな問題が解けたって事だろうけれどー
あぁ、だから殺しをさせたのかなぁ?」
なんて会話が独り歩きしている
気になることが多すぎて早口で言葉の羅列が止まらなくて
会話が若干成立しない
「ん? 私が殺すとしたらナイフでさくっと殺すよ。
まぁ、爆死ってのが気になるんだろうけど、運営の爆破の場合は腕輪が爆発するよね。
ほーらー、見せしめで死んだオッドアイの女の子みたいにさぁ……」
大ホールでの爆死と星の爆死では全然違う。
オッドアイの少女は右半身が大きく吹っ飛ばされたけれど、星の死体はあのオッドアイの少女よりは損傷が比較的に軽いのだ
「まぁ、そんなにも心配ならどっかで誰か殺しておくよ……」
……ちょっと、さらっと縁起でもない事言わないでくれない?僕は死体を増やして下さい、なんて言ってないよ。そんな極論に飛ばなくたってこの子の周りを色々調べれば少しくらい不安要素は減るだろ。
(彼女の吐く言葉は死者に対してはあんまりな物言いだとは思いながらも流していたが。
いくら面倒くさがりといえども最後に言われた言葉だけは聞き捨てならなかった。少しだけ不機嫌そうに上記を言ってから辺りを調べようとしゃがみ込んだ。
先程の自分の問いに対しての彼女の言った殺害方法は心の内に確りと留めておく事にして、床の煤けた部分を指先でなぞり)
……大方何かに引火してドカンだとか、何かを爆発させたか爆発物を置かれただとか。可能性があるとしたらそういう事じゃないの。腕輪の形はあるしねェ。回りにも色々なものがあるみたいだし。
(床に散らばっていたビンのガラス片の一欠片をなんとなく拾い上げて観察するように眺め。そもそも探索をろくすっぽしていない深山にはそれがBARのものだとは分からず。然しビンのようなものだろうか、とは見当をつけて。)
おっと、急にめつきが鋭くなった?
でも私は本気だよ
生きるために殺すことも厭わないさ
「えー、星ちゃんの死因とかどうでもよくなーい? このあと裁判が待ってるわけでもないんだよー?
まあ、誰が星ちゃんを殺したかは興味あるけどね」
にししっ、と笑ってみる
そして焦げ臭い部屋を見渡して気になったのは
「中華包丁、割れたウイスキーのボトル これはバーにあったものだねぇ……
そしてライターの破片、だねえ」
と、冷静に調べて
「あれれぇー、おかしいぞお?
凶器が二つもあるねえ」
何てわざとらしく
「星ちゃんは包丁で立ち向かったけど、爆発に巻き込まれた みたいなもんかなあーっと
深山ちゃんどう思うー?
あ、興味ない? あるー?」
- 最終更新:2018-02-28 21:00:01