流葉ソロル
Chapter1
1日目
[手記]
数日前、という程でもないが、もはや日数なんて意味をなさないここでは、常にこう書くことにしよう。
その日、どこかわからないが、大きなホールのようなところに私と、そのほかの人達も集められていた。目が覚めて、少ししたとき、どこからともなく声が聞こえた。見せしめ、というより、僕の言ったことは嘘ではないという証明を行うところを私はすぐ近くで見つめていた。音が鳴り、一瞬目をつぶった瞬間体の所々に何かがつくのを感じた。
恐る恐る目を開くと、そこには、数分前まで生きていた、人だった物が、紅く染まった飴玉とともに転がっていた。正直言って、吐きそうだった。けれど、同時に、愉しかった。人は、跡形もなく爆散するとこうなってしまうのだと。でも、愉しさは少しだけだった。いや、ここまでなってしまうと、少しの愉しさが入ってくるのだと、あの時味わった、あの感触と、また違う感触だった。
というのは、見た瞬間の時だけだった。少し経つと、一気に恐怖が押し寄せてきた。私も、いつかそうなってしまうのか、他の人も、そうなってしまうのかと。そうすると怖くなり、この事があってから、何日かは動けなかった。
ただ、ペンを、自分の恐怖の任せるままに、動かしつづけた。ここまで、よみにくいだろうが、恐怖のままに書いていたため、許してほしい。これからも、こんな調子だろう。
2日目
[手記2日目]
昨日書いたらしいものを見てみると、本当に動揺していたのかが分かる。何故愉しいと書いたのか。清々しく感じた、が正しいのに。…っておい。人が死んでんだ。清々しくてどうする。むしろ気色悪かったろ。私。何言ってんだ私(書いてるけど)。まぁ、正直その記憶は曖昧になってる。忘れようとしたからだろうか。
未だに怖くて外に出れない。外に私を殺そうとする人がいるのではないのかと、被害妄想のようなものに陥っている。
次、
次の日になったら、
外に出よう。うん、そうしよう。
そう思うと、一気に気が楽になった。今日はねよう。
私は、そこまでを読み直し、メモ帳を閉じた。
「うん。これから、進む事に決めた。
止まってはいけない事に、今更気がついたから。」
そう独り言を呟くと、私は、服を整え、持つべきものを持ち、寝癖を直し、ドアの前に立った。
「よし、ドアの外に敵なんか居る訳無い。居るのは、謎を解くための、仲間だけ。」
そう自分に言い聞かせて、ドアを開けた。
私は、例えその手を紅く染めても、ここから出る。
だけど。
望みが叶うのであれば。
もう誰も死ぬこともなく、平和に終わりたい。
そんな願望をもちながら、私はドアを開ける。
私の。
いや、私達の未来のために。
「…さあ、謎解きの始まり!頑張っていきますか!」
- 最終更新:2018-02-28 20:57:33