朝霧x門廻
Chapter1
3日目 ― 朝霧 巧 → 門廻ケイジ 以下交互
結局、我妻と別れた後、朝霧はバーからアルコールの瓶を一本回収して3階の個室に帰った。…そしてそれをちょろまかして、酷い咳をして、戻して、眠りこけて、2日目は知らぬ間に終わっていた。この『The 悪酔い』の感覚が妙に好きで、故意で飲酒をしたのだから本当に救えない。…後から考えたら、多分現実逃避の一環だったのだと思う。
「………へ?」
だから、3日目に目を覚ましたのは『どん』という音というか、衝撃で、だった。思わず扉を開ければ、階上に上がってきた黒煙と焦げ付くような匂いに噎せ返り、咳込む。
爆発って、…誰かが調理室で大失敗したとか、そんな間抜けなものではないだろう。ルール違反者か?…それか、爆殺。
アナウンスを聞いていない朝霧は、呑気にそんなことを考えた。
…爆殺なら腕輪の回収は期待できないかもしれない、か。……いや、その前に負傷者の救護を考えろよッ!!!!!!!!
軽い自己嫌悪の後に薬剤を吸入すれば、鼻と口を覆い、一度救護室へ。身体状況を考えれば、個室に籠るのが得策なのだろうが、朝霧にはどうでもいいことだった。
エレベーターを使い2階へ降りると、ストレッチャーを転がしながら煙の出所へ歩みを進めるのだった。
ペシャァ…_(:3」「)_
(爆発があった現場のもう少し離れた手前、廣田さんと八色さんの部屋の調度間辺りのお部屋の前の通路をですね、まるで塞いでるんじゃないかって思うほど他者からすると邪魔な感じに糸目の男が寝そべってますハイ。
顔にはいつものニヨニヨした感じの笑みを讃えてはいますがその様子は虚無といった感じですハイ。なんかを無くしたのか何かショックな事があったのか、とにかく『我は無なり』と言わんばかりにチーンって感じに寝そべってますハイ。
またストレッチャーが迫って来てても反応無しですねハイ。ピクリとも動きませんねハイ。
ど う し た () )
ストレッチャーを引き、走る間にも脳は現状とその最善の対処を冷静に導き出そうとしていた。
爆心地は__2階の奥の個室。火災が起きていないのが不幸中の幸いといったところか。…しまった、水を汲んでくればよかったか。連鎖的に爆発は起きていないようだが負傷者は何人だ?救護室にそれなりの設備はあったか?…いや、そもそも手遅れなんてこt
「 ___ふぇ、」
むぎゅ。
…気が迅るあまり、後ろ手にストレッチャーを引いていたのが仇となったようだ。
何かを踏んだと思ったときにはもう、両の足が地から浮いていた。
朝霧 巧は床に寝そべっていた彼につまづき、それはもう、見事にべしゃりと顔面から着地した。
「ちょ…糸目てめェ!!!!!!!!!! こんな所でペシャァ…_(:3」「)_ってすんなタオルトラップかよッ!?!?!?!? つうか何やってんだよ寝くたばってる場合じゃあないだろ!?!?!?!?!?! そこ!!!!! 爆発!!!!!!! 負傷者の、救護!!!!!!!!!! 焼かれたいのか燻されたいのかそれともコイツ(ストレッチャー)に轢かれたいのか!?!?!?!? なんかもう真っ白に燃え尽きちゃってるみたいだけどさあ!?!?!?!?!?!?!?……え?…まさか負傷者、you……?」
あわわ……、糸目のおにいちゃん、こんなところで寝ていたら、あぶないよ…?眠たいなら、個室に行って寝た方がいいよ?ここ、かなり危ないし……… …大丈夫?
まあ、そんな感じで外面と内面が逆転するくらいには気が動転していた。四つん這いで彼に近づけば大人気もなく(外見からして大人気は全く無いのだけれど)喚き、その肩を激しく揺らすのだった。
…ちなみにタオルトラップとは、朝霧の住処が汚部屋すぎて、偶に床に落ちているタオルで滑って転倒することから由来しているらしい。
俺のような絶世大☆天☆才を踏み付けるとは本来後の末代まで呪い祟られる程の不敬ぞよクソガキ…>_(:3」「)_
そう、俺はハートのブロークンしたInjured☆Person…あそこを見たまえよちっこいキャンキャンクソ煩いクソガキ君よ、俺のブレイン君が他の野郎とキャッキャウフフ❤してる…なんか別に俺助けに行かなくてもよかった感じにキャッキャウフフ❤❤してる…
まー別に良いんだけどさ?俺ディープ☆インパクトを全人類の夢と希望と慈愛で受け止められるほど超ウルトラスーパーGODに寛容だから許すけどさ??許すけど!?!?許すけどさぁ!?!?!?!?!?
べっっっっっつに他の男がミヤコを襲ってる(語弊)のをたまたま見て撃沈した訳じゃ無いしぃ!?!?!?!?助けにいこうとしたのにふっつーに平和平和に終わってなんか俺が超絶世のスーパーイケメン的な感じでカッコヨク部屋を飛び出した意味が無くなって『俺の存☆在☆意☆義って…』ってウジウジしてた訳じゃないしィ!?!?!?!?べっっっっっつにいーもん俺最初っからミヤコの相棒だし!!!!俺のブレインだし!!!!!!あっち会ったばかりっぽいしぃ!?!?!?!?あっち襲った(語弊二回目)けどこっちはミヤコのおッッッッp触ったし!!!!!触ったし!!!!!!!抱 い た し (語弊三回目)!!!!!!!!! 勝 っ た な (ドヤァ←
あ、ちなみにちっこいキャンキャンクソ煩いクソガキ君が探してる負傷者は居ないってか一人死んだ☆多分自殺☆遠目からだけどちゃあーんと確認してるよほんとだよぉ~??wwww
(先程まで真っ白に燃え尽きていた糸目は突然めっっちゃ地面で高速ゴロンゴロンしながらマシンガンの如くベラベラ語り叫びだすね!!星の部屋にいる二人にも聞こえるように叫んでるのかな!!どう見てもいじけて喚くガキにしか見えないよ!!大人気無いってかこいつの場合大人気もクソも無いね!!手遅れだね!!!!諦メロン()
まあそんな訳で、きちんと負傷者や死亡者のことをちゃんと報告する辺りは妙に律儀だったりする…のかなぁ?)
「"俺の脳味噌くん"って…… …あー、ミヤコセンセイのことか。
……はいはい察し察し。要するに『俺のオンナがあんな男にぃ…!ぎりりぃ。』って、妬いてんでしょ。折角『アイツ……っ!』って、なんかちょっとカッコよさげに飛び出して来たのが不発に終わって悔しいんでしょ。『気にしない、気にしない、これじゃあ束縛しているみたいじゃないか。自分がアイツに負けたみたいじゃあないか。…けど、無意識に自分とアイツを比べてしまうんだ(キリッ』……的なね?そんで超ウルトラスーパーゴッド(笑)に寛容で、馬鹿高いガラス級に耐久力の無いHeartが粉砕されて粉々の木っ端微塵になっちゃったふぇぇ、…ってことでしょ?
いや、気持ちはわからなくも無いよ?僕も『僕がやらないで、誰がやるんだッ!』って飛び出したら負傷者無し(但し死者一人)時既にお寿司、床におもくそ激の突、からのバリクソ腹立つ糸目の愚痴を聞く、っつー三本立てと来たものだからねぇ、主に誰かさんのおかげで。……いやー、ミヤコセンセも隅に置けないねぇ。あーゆータイプって、一回なんか目的見つけたら脇目振らないで突っ走る感じだと思うからさァ。…いちいちそんな気にしてたらキリ無いよ?胃痛になるよ?ハゲるよ?
あと僕『ちっこいキャンキャンクソ煩いクソガキ君』じゃないから。"朝霧巧"って名前あるから。つうか、絶対お前より年上だから。……そっか、自殺か。これ、要らなかったか。……さて、」
嫌味やら、捻くれ曲がった慰めのような何かやら。つまづいた腹いせとばかりに頬杖をつき、ごろごろと転がる姿を見ながらそんな諸々をつらつらと述べる。そう、手遅れだ。今この場に、大人気など微塵も無かったのだ。
因みにアナウンスを聞かずに飛び出してきた朝霧は、自殺の原因をこの環境に耐え切れなかったから、と判断した。
「ハイパージャマだし、超絶恥ずかしいから転がんのやめろ!!!!!!!!!! lonelyとrollingをかけてんのかもしれないけど、黙って床綺麗にするだけコロコロの方がマシだっつーの!!!!!!!!!! スモーカー女教師・廣田センセイのおっPは無いけど合法ショタ・朝霧きゅんの太ももなら貸してやるから一回はけろこの"糸目タオル"ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
死を悼むように目を伏せ、必要の無かったストレッチャーを見やるのも一瞬のこと。だって、いくら悼んでみたって死は覆せない。…僕らしくもないしね。
きゃんきゃんと吠えれば、両の手で彼の首根っこを掴み、壁際まで引っ張ろうとしてくるだろう。
- 最終更新:2018-02-28 21:04:40