黒田ソロル
Plorog End後
Plorog End後
(とあるアパートの一室。ベッドと本棚、机と椅子、そして壁一面には貼られたメモ用紙。
灯りはついておらず、殺風景な其処に彼は居た――)
なあ…何で母さんは死ななければならなかったんだろうな。
(椅子に座り手にもつは1枚の写真。悲しげな顔つきでソレを眺めて昔の事を思い出しながら独り問う。
母親が居なくなった日――その日ちょうど紫陽は友人の家へ泊まりこんでおり。
翌日帰宅すれば家には誰も居らず、机の上には大好物のオムライスだけが置かれていた。
その時はあぁ、何処か出掛けたんだな位にしか思っていなかったが――
数日経っても帰ってこない。電話をかけても通じない。近所に伺うも見ていないの返答。
事態を察し警察に行こうかと思った矢先だった…
出張から帰ってきた父親より母親の訃報を聞いて――。「事故で亡くなった」、と。
酷い事故で身体が原型を留めていないから、と聞かされ、二度と母の姿を見る事は無かった。
あの時、俺が出かけていなければ変わっただろうか?
何度も何度も何度も何度も頭の中で繰り返す。
今更そんな事を考えたって意味なんて無いのに。
いつまで経っても現実を受け入れられない俺は今もこうやって事件や事故を調べて…
彼女の名前を見れば受け入れられるかもしれないのに――。
(ふう、と溜息を吐けば写真を手帳に戻して。
ベッドへ戻るにも何だか身体が重く感じそのまま机に突っ伏して眠りにつくだろう…)
Chapter1
Chapter1 ― 1日目
(幼い頃の夢を見た。――家族に愛があった頃の夢だ。いつからだろう?壊れてしまったのは。
あの頃は楽しかったなあ、なんてずっと其の夢を見ていたかった。
此の儘起きてしまわなければ…ずっと幸せなのに。勿論その願いは叶う事無く。
周りの騒がしい声によって眠りは妨げられ、仕方なく重い身体をゆっくりと起こす。
辺りを見回せば、見知らぬ人。誰も彼も混乱しているようで。
そして流れるアナウンス。その内容を聞けば、脳に電流が走るかのように思い出す。
2年前の生存者の“脱出ゲームを攻略した”という言葉を。)
――ああ、これが。
(これが彼女の言っていた脱出ゲームか、と。後の言葉を聞かれてしまえば危うい状況になると咄嗟に判断し口を噤んで。
――その後、中央の少女が爆散する姿を見れば余りの惨さに俯く。
…だが、今は感傷に浸っている場合ではない。今は…今は動かなければならない。
もう、取り返しのつかないところまで来ている。ならば、徹底的に調べるしかない。このゲームを生きて“攻略”するしかない。
……母親が消えたあの日、2年前の事件が発生したあの日。その一致は偶然なのか、それとも――。
扉にランプが灯れば、一人輪から抜け出すように青年はその場を後にした。)
- 最終更新:2018-02-21 17:37:11