桐間x繰夢夜
Chapter1
3日目 ― 桐間 海人 → 繰夢 夜美 以下交互
...とりあえず1日はここから出ない方がいいかもしれないな、その為にもとりあえず軽く、そしてエネルギーの高い食料はとってきた方がいいかもしれないか
(そこら辺にあった大きめの鍋にとりあえずバナナやみかん、ウイダー等の手軽に食べれるフルーツやゼリーを詰め込んでいく)
...正直、これだけで足りるとは思えないけど大丈夫か
「あら、お料理でもしているの?」
お腹がすいたというリクエストを受け、もうそんな時間かなんて考えながら調理室に来たのだが、どうやら先客がいたようで。
鍋を使っているからか、料理していると勘違いしたようで、彼の隣に移動すると声をかける。
...いや、料理はしてないさ、朝の放送を聞いてとりあえず自室に篭っとかないといけない感じだったから1日分の食料を貰いに来たんだ
(少なくとも昨日よりフルーツ類が少なくなってるから二番手程度だと思うけど、と付け加えると)
...料理はあんまり上手じゃなくてね、普通の人よりかはできるけども、レパートリーが少なくてさ
「……? 自室に篭っていても、死ぬかもしれないと思うわ?
自室に篭ってるだけじゃ何も進展はないだろうし……もう問題は解けてるの?」
例え部屋に篭っていようとも、殺人が起きなければ必ず誰かが死ぬわけで。
そんな状況で篭っていたところで、死ぬ可能性がなくなる訳では無い、それなら謎を解いていた方がいいのでは……、と思ったのだが。
問題を解く情報を探さずに、部屋に閉じこもっているのであれば、もしかして問題がすでに解けているのでは? と推測して聞いてみる。
どうせ焦って考えがまとまってない奴が願いを求めて殺人に走るだろ...多分な、全く、願いを叶えられる事が絶対、って訳でもないのに
(もしかしたらこの場を盛り上げるためだけに用意されたのかもしれないが)
...解けてはいるさ、1度...いや、2度推測した答えが間違ってたと思って変えたけどな、アナウンスさえ聞いてりゃわかるさ
「聞いていればわかるの?」
問題はアナウンスを聞けばわかる、と言われれば首をかしげながら聞き返して。
それこそ、姉と一緒に部屋に篭ってなんども聞いていれば解けそうなものなのだが……いや、そんなに姉が集中できるわけがないか。
「他に、なにかヒントとかないかしら……?」
...ヒントの様な物だと思って聞いてくれればいい、ルールも単純、クイズの内容も単純な説明をわざわざ繰り返し聞かせる必要はあるか?
(そりゃあ無いよな、と付け加えて)
だったら単純な話で探索する必要など無くただ問題を聞き返してればどうにかなるから...問題文の通り説明文の中から「私」を探せばいいだけだ
「問題文を聞いて、説明の中から私を見つける……?」
やはり、あまり良くわからないと首をかしげて。
ひとまず、これを参考にして音声を聞き返していれば何かわかるかもしれない、これはかなりの収穫ではないだろうか……?
「ありがとうお兄さん、お礼に何か作りましょうか?」
料理はできるがレパートリーが少ない、と言っていたから、せっかくだし何か作ってお礼にしたいなと申し出る。
俺の説明が分かりにくかったらそれはそれですまないのだがな...他の人からも聞いといた方がいいかもな
(そういうと何か作ってくれるらしいので)
んー...今食べたいの...ルールがルールで世紀末みたいなもんだしなるべくすぐ作れる物と言ったら...良いよ、好きな物作ってくれれば、女性の愛情が含まれてるならそれだけで食べられるだろうし
「あらそう? それなら簡単なもの作ってしまうから、少し待っていて?」
珍しく子供扱いされなかったから、少し上機嫌になりつつ、少しだけ待っていてと伝えて、早速食材を集め始める。
とはいえ、数は少ないため作れるものも限られるのだが。
...食料問題に陥ったら多分殺し合いが始まるからなるべく節約しないとだな
(俺に作る料理も簡単で少なめでいいから、と付け加えると)
...それでも作ってくれるだけありがたいか
「でも、そう簡単に食糧不足になる程の量ではないわ? しばらくはもちそうだもの」
確かに、量自体は少なくなっているのだが、だからといってすぐ無くなるかと言われたならば、それはちがう。
長くて数週間はもちそうな程には食材は残っていた。
「……なら、簡単に野菜炒めかしら?」
確かにそうだな...向こうも食料問題を見込んでるはずだから多めに置いとくのは当たり前か
(そういうと冷蔵庫の中身を再び物色し始めると)
野菜炒めで構わん、俺は好き嫌いがあんま無いし自由に作ってくれていいぞ
何を入れても構わないといわれれば、微笑むことでそれで了承すると、早速野菜をあつめて包丁を入れ始める。
料理をする時の癖なのだろうか、また鼻歌を歌い始めた。
..まぁ、こんだけある食料もいつかは消えるんだし早めに脱出しといた方がいいことには変わりないな
(それでも長期戦を望んでるのかかなりあるみたいだけどな、と付け加えて)
味付けも好みで構わん、シーザーてもドレッシングでも好きにしてくれ
「野菜炒めにドレッシングは必要ないと思うわ?」
それはサラダよ、なんて軽口を叩きつつ、なんやかんやあってあっという間に野菜炒めは完成、一応お肉も使っているから、お腹にたまりそうではある。
……3人で食べ切れるかしら。
普通に美味そうだな...あと、ドレッシングの件は気にするな、単純に俺が間違えただけだ
(そう言うと普通の箸とは別に置いてあった割り箸を二人分持ってくると)
...もう食べちゃっていいのか?
「ええ、食べちゃっても大丈夫よ」
すでに姉が食べる分にはラップをかけてある、ここで今さらによそってある分を全て食べてしまっても問題は無い。
……初めてねぇ様以外の人に食べてもらうけど、おいしいって言ってくれるかしら。
じゃあ遠慮なく全ていただくとするかな...いただきます
(そう言うと彼女が作った野菜炒めを1口食べる、尚、作った本人は何故か緊張っぽい物をしているみたいだ、多分美味しいかどうか気になるって事だろうが)
...普通に美味しいな、誰かに料理を教わったのか?
「頑張って作れるようになったの、独学よ」
初めて姉以外の人に食べてもらえて、しかも美味しいも言ってもらえた……嬉しいわ!
こんな事考えたら不謹慎かもしれないけれど、これも誘拐されなければありえなかったかもしれない事だもの、不幸中の幸い、なんて考えておくことにしましょう。
独学でここまでか...偉いし、随分頑張ったな、俺もこの位まで頑張りたいものだ
(そう言うと野菜炒めを口に入れて噛み、飲み込むと)
...そういえば、まだ名前を言ってなかったな、俺の名前は桐間 海人、変な呼び方じゃなければどんな呼び方だって構わん、お前は?
「海人にぃ様ね、私は繰夢夜美よ」
ねぇ様とは違うけれど、子供扱いされなかった上に美味しいとご飯を食べてくれた、だからにぃ様と呼ぶことにしたの。
……ほら、義理のとかあるじゃない? 一番はねぇ様だけどね?
にぃ様って...何か慣れないな、1人っ子だったし、妹とか弟とかもいなかったしな
(まぁその呼び方も新鮮でいいか、と心の中で思うと)
繰夢か、よろしく頼む
「出来れば”夜美”って呼んでちょうだい?
私、双子の姉がいるものだから」
繰夢なんて呼ばれることに慣れてないって言うのもあるけど、それでも下で呼んでもらえないと本当にどちらがどちらなのか分からなくなってしまう。
そこは区別してもらいたい
そうか...ならわかった、夜美って呼ぶことしよう...因みに、双子の姉さんの名は?
(食べつつ聞き、質問し終わった時には既に野菜炒めは皿の上からなくなっており)
...なら料理は姉さんのために覚えた、って訳にも取れるな、俺の予想は合ってるか?
「それはねぇ様に会ってからのお楽しみよ?
そして、大正解。 ねぇ様すぐにカップラーメンとかですませようとするんだもの、体に悪いでしょ?」
だから覚えたの、なんて付け足して。
一応わたしのねぇ様に、そんな不健康な食生活を送って欲しくないもの、健康でいてほしいじゃない?
なら夜美の姉さんは嬉しいだろうね...美味い飯毎日食えるんだもん
(そう言うともう戻らなくちゃか、と考える、居すぎだったか?とも考えたがそんなに居ないだろうと仮定をして立ち上がると)
そろそろ俺も戻るとするよ...相方さんが待ってるかもしれないしね
「あら、もうそんな時間? 誰かと話していると時間が経つのも早いのね」
私もそろそろ行かなくちゃと、まだかろうじて暖かい野菜炒めを持っては、にぃ様と一緒に立ち上がって。
早くねぇ様にも、にぃ様のこと話してあげたいわ。
そうだな...じゃあ、俺は自室に帰るとするよ、野菜炒め作ってくれてありがとね、また生きてる内に会おう
(そう言うと身長差のあった夜美の頭をポンポンして、これだけだと子供扱いされるかもしれないが)
...あ、夜美の姉さんには良いこと伝えておいてくれよ?、嫌悪感持たれるとなんかやだし
「大丈夫よ、悪いように言うつもりなんてないわ?」
珍しく子供扱いしない優しい人に会うことが出来たのだから、わざわざ悪くいうことなど考えてもいなかったし、それに姉もそういうタイプは嫌いではなかったはずだ。
そして、そんな心配をするにぃ様に微笑みかけて手を振ると、片手に野菜炒めを持って、自分の部屋へと戻って行った。
- 最終更新:2018-02-28 20:53:16